受け継いできたのは、
宿場の文化と中浮かしの技術。

独特の軽さと風味は、
「中浮かし」から生まれる。

おたけせんべい独特の、サクッとした食感。
それは、「中浮かし」という受け継がれてきた伝統の焼き加減により作られます。固くもなく、そうかといって軽すぎない、ちょうど中間ぐらいの焼き加減にするため、長年の経験をもとにした絶妙なタイミングを見計らいます。

煎餅は焼き方の微妙な違いにより、米の風味の感じやすさや口どけが変わってきます。おたけせんべいの味付けは、しょうゆ、砂糖、食塩という古来から日本で使われている調味料だけで作るシンプルな味わい。軽い噛み応えと、口にふわっと広がる米の風味を楽しんでいただくには、「中浮かし」の焼き加減がちょうどよいのです。

煎餅づくりの技術

ひとつひとつ、丁寧に。
現代も続けている職人の手仕事。

当社では昭和の中後期までは、炭を燃やして火床を造り、そこで煎餅を網に挟んで焼いていました。当時は下火しかないので、網を何度もひっくり返しながら焼いていきます。煎餅は、焼く前に生地を水分調整する必要があります。ちょうど正月の鏡餅のような固い生地を数時間温めて水分を均等にするのです。

昭和の時代はそれを完全な手作業でやっており、その加減は職人の経験と勘によるものでした。均一の大きさになるように、また軽く焼き上げるために、煎餅の膨らみ具合や焼き具合といった感覚的なものを受け継いできました。

現在は、機械を導入し、熱を均一に届けることができるようになっています。ただ、焼く前の生地の水分調整、焼くタイミング、火の強さに微妙な調整が必要なのは変わりません。これほど不安定な煎餅がうまく焼けたとき、火床にも神様がいると心底思ってしまうほどうれしいものです。
焼いた後の味付けは昔とほぼ変わらず、主力商品の「花形白」「花形ザラメ」は今も刷毛で1枚1枚、手塗りしています。味付け後の乾燥作業も昔と同じ。機械は現代化しましたが、最終的には職人の勘を頼りにして、丁寧に製品を作っています。